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仙台地方裁判所 昭和50年(わ)269号 判決

本籍

宮城県石巻市立町一丁目二九番地

住居

同市蛇田字新谷地前二四番地の一

会社役員

蛭田仁

昭和八年一〇月一八日生

本店所在地

宮城県石巻市蛇田字新谷地前二六番地

商号

石巻重搬興業株式会社

代表者

代表取締役 蛭田仁

右の者に対する法人税法違反被告事件につき、当裁判所は検察官横田尤孝出席のうえ審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人蛭田仁を懲役六月に、同石巻重搬興業株式会社を罰金五〇〇万円に処する。

被告人蛭田仁に対しこの裁判確定の日から二年間その刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告会社は、石巻市蛇田字新谷地前二六番地に本店を設け、重量物運搬及び据付、クレーン作業等の業務を営み、商号を石巻重搬興業株式会社とする会社であり、被告人蛭田仁は、同会社設立の昭和四三年一一月二七日当時から取締役ではあるが実質上同社の業務全般を統括し、昭和四八年五月二八日からは形式上も同社の代表取締役に就任して同様その業務の全般を統括していたものであるが、被告人蛭田仁は、被告会社の業務に関し、法人税を免れる目的をもつて、架空外注作業費及び傭車料を計上し、これによつて得た資金を架空名義の簿外預金にしてそれを簿外経費にあてるなどの不正な方法により、同会社の所得を秘匿したうえ

第一  昭和四七年四月一日から昭和四八年三月三一日までの事業年度における被告会社の実際の所得金額が三二、四七六、八三八円で、これに対する法人税額が一一、三二九、〇〇〇円であつたのにかかわらず、昭和四八年五月三一日石巻市千石町二番三五号所在、所轄石巻税務署において、同署長に対し、同会社の右事業年度における所得金額が九、〇九八、七五七円で、これに対する法人税額が二、七七一、四〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて同会社の右事業年度の実際の法人税額と右申告税額との差額八、五五七、六〇〇円の法人税を免れ

第二  昭和四八年四月一日から昭和四九年三月三一日までの事業年度における被告会社の実際の所得金額が六四、六二〇、四二五円で、これに対する法人税額が二二、四九一、八〇〇円であつたのにかかわらず、昭和四九年五月三一日、前記石巻税務署において、同署長に対し、右事業年度の所得金額が三二、一〇七、八五九円で、これに対する法人税額が一〇、五六三、五〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて被告会社の右事業年度の実際の法人税額と右申告税額との差額一一、九二八、三〇〇円の法人税を免れたものである。

(証拠の標目)

一、被告人蛭田仁の当公判廷における供述

一、第一回公判調書中証拠関係カード記載請求順一乃九九の各証拠

一、第二回公判調書中証拠関係カード記載請求順一〇二の証拠

(法令の適用)

判示事実 被告人蛭田につき法人税法一五九条一項、七四条一項二号、被告会社につき法人税法一六四条一項、一五九条

刑の選択 被告人蛭田につき懲役刑

併合罪 刑法四五条前段、被告人蛭田に対する懲役刑につき同法四七条本文、一〇条(判示第二の罪の刑に加重)被告会社に対する罰金刑につき同法四八条二項

被告人蛭田に対する刑の執行猶予

刑法二五条一項

よつて主文のとおり判決する。

(裁判官 立川共生)

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